「愛」を通しての人生と健康的なえろの表現。
この本は10本の短編の話が入っていてどれも
なんとも言えない女性が感じる愛の無常を垣間見れました。
10作品
- 泳ぐのに、安全でも適切でもありません
- うんとお腹すかせてきてね
- サマーブランケット
- りんご追分
- うしなう
- ジェーン
- 動物園
- 犬小屋
- 十日間の死
- 愛しいひとが、もうすぐここにやってくる
2フレーズ
この10作品の中で個人的に好きだったのは
「サマーブランケット」と「動物園」。
一つとして、使われているフレーズがとても好きでした。
サマーブランケットの一部のフレーズとしては
「胸のすくような厚かましさだった。」
「泳いだあと、彼らの頬は上気していて、
まるでセックスのあとのようにみちたりてみえる。」
- 厚かましいと言ったらむしろ胸がいっぱいになる感じがするが
文脈的に、受け入れられる「厚かましい」という表現で
「胸がすくような」と使うのはとてもしっくりきた。
- 「泳ぐ」と「セックス」を類似させるあたりも、面白みがあった。
二つとも「充実感」が満ち足りているというもので
この二つを結びつけるって中々考えられないものだと感じた。
泳ぐのに、安全でも適切でもありません
全体を通して、上手くいっているとは言えない男女の人間関係がどの話でも見られる。
題名である「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」とはどういうことか
ひとそれぞれ解釈してみるといいと思う。
人生は安全でも適切な生き方はないが、この本に出てくる女性たちは
「愛」だけには無鉄砲に躊躇ないことが特徴的。
愛することと幸福は同義ではない
彼女らが体感している愛することは決して幸せというものではないし、寧ろ切なすぎる。
一時的な男女の高揚感や、男が去った後の静けさ、嫉妬や相手を思う感情の変動。
愛を主軸として彼女らは自分の人生を生きている話がとても印象的。
まとめ
読んだ後は「しっとり」とくる感じが適切かわからないがそう個人的に感じた。
若干の物足りなさはあったが読んでみるといいと思います。
江國さんの本を読んだのは初めてでしたがこれをきっかけに、
他の作品も読んでみようと思う。
- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/02/18
- メディア: 文庫
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