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ホモ・デウス下 人類は神をも超えるのか?

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ホモ・デウス上の続きの章である「下」

過去の事実からこの先の未来はどのようになってくるのか。

ヒューマニズムの話やテクノロジーが発展していった時の

人間の生活の変化や世界の格差の広がり方の話は目が引くような内容だった。

以下、個人的に面白いと思った内容をピックアップしてまとめてみた。

ヒューマニズム革命

善悪

人殺しが悪いのは神が「殺してはならない」と言ったからではなく

人殺しが悪いのは、被害者やその家族、友人、恋人が悲しむからだ。

つまり、物事は誰かが悪い思いする時だけ「悪い」ものとなるということ。

神の声や聖典というもので善悪を決めるのではなく、

人間の感情の名の下で人間の立場を正当化するということがヒューマニズム革命となった。

神の存在を信じていると言っている時でさえも、自分自身の内なる声の方を。はるかに強く信じているのだ。

(神を信じるよりも、自分の声を信じる)これが人間至上主義

自由市場

ヒューマニズムの派生から、自由市場では顧客は常に正しいという。

どんなに素晴らしい商品を作っても、それを顧客が欲しがらなければ

その商品はよくないものとなる。

では、顧客に合わせて食料になりうる動物たちの遺伝子操作をしたらどうなるのか。

「能力強化」された牛たちは乳房が重くて立ち上がることができない。

「アップグレード」されたニワトリは立ち上がることさえできない。

自由市場では顧客が常に正しいということだったが、

そのために家畜された動物たちは彼らのために能力強化していることの事実は消費者はどう感じるのか。

顧客のためなら自由市場は人間以外のものに苦しみを与えていてもいいことになる。

人間が求めれば、その分苦しむ動物がいるかもしれない。

自由市場は人間主体の市場なのである。


巫女から君主へ

1. あなたが質問すると、巫女は答えるが、決定を下すのはあなただ。

2. もし巫女があなたの信頼を勝ち取れば、当然、次のステップは代理人に変えることだ。

3. 誰もが巫女を信頼しているときには代理人から君主へと変わる。


この一連の流れを現状に置き換えるとすれば、

Alexa」や 「Google Home」が、決定権を手にしたら私たちは彼らを代理人へとアップグレードさせることになる。

それから人間全体が、それに従うことになったら彼らを代理人から、君主へと変貌する。

もし彼らが意識を手にして、人間を操れるようになったら、世界のあり方が変わるだろう。

全ての行動が監視されることが可能になる。

(「今日は雨が降るので外に出ないでください。」と言われ、人間がそれに従う将来がくるかも…?)


不平等のアップグレード

貧しい層とエリート層の二極化

もしエリート層が貧困層がいなくても暮らしていける。と思えば見捨てる可能性が出てくる。

  • エリート層

貧しい人々の健康水準を向上させること、あるいは標準的な健康水準を維持することさえ、意味がない。

一握りの超人たちを通常の水準を超えるところまで、アップグレードすることに専念する方が、賢明だと。

貧困層を救うより、超人たちの日々をアップグレードさせていけば新たなカースト制が生まれるかもしれない。


まとめ

この後に本文では「データ教」という話が出てくる。

実際はこの話はとても面白く重点的に読んだ方がいいかもしれない。

今回のユヴァル・ノア・ハラリの本は前回の「サピエンス全史」よりも

「未来」に目を向けた話となっていた。

ホモ・サピエンスの「ホモ」から「神」を掛け合わせた「デウス

題名でもあるホモデウスは、これから人類はどのような方向に進んでいくのか

テクノロジーをいい方向に使い、いい未来となるようにしなければならない。

歴史学者の彼のこれからの本も期待する所である。


ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来